DRFメーリングリストアーカイブ  (2007-7-18 10:00以前はこちら)
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[drf:186] Re: [drf:184] Elsevier PMC supplements



栗山さん、

> これは先にエルゼビアとハワード・ヒューズ医学研究所が結んだ
> 協定を受けて出されたものと考えていいんですよね?
> http://www.hhmi.org/news/hhmielsevier20070308.html

いえ。liblicense-lへの投稿では、むしろWellcome財団との調整の結果のよう
です。

> ワシントン・ポストの報道によると、1論文あたり千ドルから千五百
> ドル支払われるとのことで、しかもPMCへの収録は6ヵ月後とのこと
> ですから、ずいぶんエルゼビアのペースで交渉が進んだんだなあ
> (どこかの国を思い出したりして:-)という印象でした。
> http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/03/08/AR2007030802304.html

いや、逆です。WellcomeとかHowardHughsとかは金を出すんだから文
句を言うなという手で攻めているのだと思います。しかし、エルゼビアにとっ
て1000ドル*論文数なんてたいした儲けにはならないのだろうと思います。
ScienceDirectだけで世界中で数千億円の売上があるのですから。

ついでながら、「(どこかの国を思い出したりして:-)」がもし日本のことを
おっしゃっているのでしたら、(理由を述べるのはこのリストになじまないので
しませんが)認識を改めてください。

> このSupplemental termsでは、
> ・PMCに入るのは出版時までに加えられた修正がすべて反映した版
> ・文書内のリンクとその後出版社が加えた修正にはPMCで責任を持つ
> ・エルゼビアでもサイエンス・ダイレクトで無料アクセスを提供
> となっていますね。
> 結局、これまでのOAオプション+PMCへの納品サービス
> ということだと思うのですが、研究助成機関のMandateを逆手に取った
> 抜け目のない商売と見るのはうがちすぎでしょうか?

はい。「抜け目のない商売」というのは同感ですが、うがちすぎというのは
見当違いだと思います。まず、「・エルゼビアでもサイエンス・ダイレクトで
無料アクセスを提供」となるのは、"sponsor" された文献だけです(もちろ
ん、冒頭で、documentとはこの文書ではsponsored documentのことだと言って
いるのに)。

むしろこの文書から読みとるべきだとぼくが思うのは、現在のSTM出版者の産業
構造の基礎になっている「学術論文の著作権の譲渡による雑誌刊行」について
の変更を一切認めていないことです。PMCへのpostは権利者であるElsevierの許
諾を得てやることで、それがどのように使われるかはElsevierが権利者として
決めるということになっています。著者の権利としてPMCにpostするわけではな
いわけですので、これで雑誌の値段を下げない、売上も実は下がらないという
ことであれば、いってみればやらず(著作権は断固行使)ぶったくり(金は取る)
ですから、たしかに抜け目のない商売というよりは、原則を守りつつ儲けも確
保ということになるのではないでしょうか。しかし考えようによっては、ここ
で何を守りたいのかが、もともとわかっていたものの、さらに鮮明になったと
いえると思います。

著者の権利を行使して研究成果の利用促進を図ると考え方の実現にPMCの
mandateが寄与しないという点ではHarnadのほうが正しかったことがよくわか
ります。だから、機関リポジトリならばうまくいくかというと、もちろん概念
的にはそうなるしかないことがこれでわかったわけですが、そもそも機関リポ
ジトリに著者が論文が載るかどうかが問題なわけです。また、機関リポジトリ
構築においても、実態はどうであれ、理屈のうえでは著者が載せるということ
を明確にしておかないと意味がなくなってしまうわけです。

土屋